目次
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特例子会社とは
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特例子会社のメリットとデメリット
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2.1 メリット
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2.2 デメリット
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特例子会社を設立する手順
1. 特例子会社とは
特例子会社(とくれいこがいしゃ)とは、障害者の雇用促進と安定を図るため、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(障害者雇用促進法)に基づき、厚生労働大臣の認定を受けた子会社を指します。
特例子会社に雇用された障害者は、一定の要件を満たす場合、親会社または企業グループ全体に雇用されているものとみなされ、親会社等が負う法定雇用率の算定に含めることができます。
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目的: 障害者の働きやすい環境を整備し、雇用の機会を拡大・安定させること。
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本質: 親会社等の法定雇用率の達成を支援するための特例制度です。
2. 特例子会社のメリットとデメリット
2.1 メリット
| カテゴリ | 詳細 |
| 法定雇用率達成 | 特例子会社で雇用した障害者を親会社の雇用率に算入できるため、親会社単独では達成が難しかった法定雇用率の達成が容易になります。 |
| 職場環境の最適化 | 障害特性に合わせた業務の切り出し・創出、職場環境のバリアフリー化、専門の指導員・サポーターの配置などが集中的に行え、障害のある方にとって働きやすい環境を実現できます。 |
| 雇用の安定・定着 | 障害者本人が安心して働ける環境のため、定着率が向上しやすく、人材育成も進みやすくなります。 |
| 社会的貢献・企業イメージ向上 | 障害者雇用に積極的であるという企業姿勢が明確になり、CSR(企業の社会的責任)の遂行や企業ブランド価値の向上につながります。 |
2.2 デメリット
| カテゴリ | 詳細 |
| 設立・運営コスト | 会社設立費用、バリアフリー化や専用設備導入の初期投資、人件費、そして専門指導員を配置・育成する継続的な運営コストが発生します。 |
| 業務の切り出し | 特例子会社で担わせるのに適した業務を選定・切り出し、安定的な業務量や品質を確保する仕組み作りが必要です。 |
| 親会社との関係性 | 特例子会社が親会社に過度に依存し、自立的な事業展開が難しい場合があります。また、親会社の業績に左右されるリスクもあります。 |
| 採用・定着の難しさ | 適切な人材を採用し、継続的に指導・育成していくための専門知識やノウハウが必要になります。 |
3. 特例子会社を設立する手順特例子会社を設立し、厚生労働大臣の認定を受けるための一般的な手順は以下の通りです。
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子会社の設立・事業計画の策定
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特例子会社として独立した会社を設立します。
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特例子会社が行う事業内容(親会社からの業務切り出し)や雇用する障害者の数、障害特性などを具体的に計画します。
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バリアフリー化など職場環境の整備計画を立てます。
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障害者雇用の開始
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設立した子会社で、計画に基づき障害者を雇用し、就業を開始します。
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認定要件を満たすために、以下の人数・割合をクリアする必要があります。
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雇用する障害者が5人以上。
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全従業員に占める障害者の割合が20%以上。
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雇用する重度身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合が30%以上。
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認定申請
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所在地の**ハローワーク(公共職業安定所)**を経由して、厚生労働大臣に対し特例子会社としての認定を申請します。
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申請書には、親会社との人的・資本的関係や、雇用管理の状況、雇用計画などを記載します。
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審査と認定
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提出された書類に基づき、要件を満たしているかどうかの審査が行われます。
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要件を満たしていると認められれば、厚生労働大臣から認定を受け、正式に特例子会社となります。
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親会社等による雇用率算入
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認定後、特例子会社に雇用されている障害者が、親会社等の法定雇用率算定に含められるようになります。
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8. まとめと今後の展望
特例子会社は、企業と障害者の双方にとって多くのメリットをもたらす制度です。法定雇用率の達成だけでなく、障害者が安定して働ける環境を整備することで、企業の社会的責任を果たすことが可能です。


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