【はじめに】
事業を安全に運営し続けるためには、事業所としてもいかなる緊急事態にも備えなければなりません。 特に、福祉業界では、利用者の安全や健康を守るため、自然災害や感染症の発生そのために必要なものが「業務継続計画(BCP: Business Continuity Plan)」です。 業務継続計画を策定していない事業所には、報酬の減額が適用される「業務継続計画未策定減算」という制度があります。
この記事では、業務継続計画未策定減算がどのようなものか、特に「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」「就労移行支援」に与える影響について、初心者にもわかりやすく解説します。
業務継続計画(BCP)とは何か?
事業を運営するにあたって、自然災害や火災、感染症の拡大など、予測不能な事態に対処することがあります。非常時でも早期に業務を再開するための計画の事です。
BCPは、緊急時でも事業を継続するための具体的な手順を決めておくものです。例えば、利用者の避難経路、重要なサービスの維持方法、職員の安全確保などが含まれます。災害時等に特に脆弱な立場にある利用者を守ることが重要であり、BCPの策定は重要です。
業務継続計画未計画減算とは?
2024年4月の報酬改定でBCPの策定が義務化となりました。BCPが決まっていない場合、福祉サービス事業所は「業務継続計画未策定減算」という形で報酬が減額されます。福祉事業所は、利用者の安全を守る義務があるため、BCPの策定が求められています。
減算の単位数
この減算が適用されると、利用者全員分の基本報酬が減産となります。サービスによって減算される単位数が違うので注意が必要です。就労移行支援、就労継続支援A型・B型の減算単位数は基本報酬の1%です。
減算に該当した場合は、その事実が判明した翌月から減算となります。ただし、基準を満たさない事実が判明した日が月の初日である場合は当該月からの減算となります。
経過措置
業務継続計画未策定減算は新たな減算となるため、事業所が準備する時間も必要なことから経過措置が設けられています。
就労移行支援、就労継続支援A型・B型に関しては、「感染症の予防及びまん延防止のための指針」と「非常災害に関する具体的計画」の両方を作成していれば、2025年3月末までは減算となりません。
業務継続計画を立てるメリット
BCPの策定には多くのメリットがあります。まず、災害時や感染症の拡大時に、利用者や職員の安全を確保することができるポイントです。また、事業の信用を高めることにもつながります。 BCPを持つ事業所は、利用者やその家族からも信頼されやすく、緊急時の対応力が評価されます。
BCPの策定には、事前のリスク評価や訓練、シミュレーションが重要です。緊急時の対応を実際にシミュレーションし、職員全員が迅速に対応計画できるかどうか確認することで、実際の有効性が考慮します。
業務継続計画のための具体的なステップ
BCP の進め方は複雑に考えられないかもしれませんが、以下のステップを参考にすることで、比較的簡単に進めることができます。
【ステップ1】リスクの特定
まず、事業所アップにとってどのようなリスクが存在するのかを洗い出します。例えば、地震、洪水、感染症の流行など、地域特有のリスクも含めてリストしましょう。
【ステップ2】 対応策の考え方
次に、各リスクに対する具体的な対応策を考えます。緊急時にどのように職員や利用者を守るか、設備の保護方法、コミュニケーション手段などを詳細に計画します。
【ステップ3】 訓練と見直し
策定したBCPを職員全員に周知し、定期的に訓練を行います。実際に機能するかどうかを確認し、必要に応じて計画を見直します。事業所の規模や利用者のニーズに応じて、柔軟に対応できるBCPを構築しましょう。
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