【多機能型事業所とは?】定員基準と運営の注意点 ~就労継続支援A型・B型・就労移行支援の実務ガイド~

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目次

  1. 多機能型事業所とは

  2. 多機能型事業所の人員配置基準

  3. 多機能型事業所の基本報酬

  4. 多機能型事業所のメリットとデメリット

    • 4.1 メリット

    • 4.2 デメリット

  5. 多機能型事業所の設立手順

  6. まとめ

1. 多機能型事業所とは

多機能型事業所とは、障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に基づく障害福祉サービス事業所のうち、複数のサービス種別を一体的に提供する事業所のことです。

通常の事業所が一つのサービス(例:就労継続支援A型のみ)を提供するのに対し、多機能型事業所は例えば「就労移行支援」と「就労継続支援B型」のように、二つ以上のサービスを一つの事業所で提供します。

対象となるサービス(例)

主に以下の日中活動系サービスの中から組み合わせて提供されます。

  • 生活介護

  • 自立訓練(機能訓練、生活訓練)

  • 就労移行支援

  • 就労継続支援(A型、B型)

この仕組みにより、利用者はサービスが変わるたびに事業所を移る必要がなくなり、個々のニーズに応じた柔軟な支援を受けやすくなります。

2. 多機能型事業所の人員配置基準

多機能型事業所の人員配置は、提供するサービス種別ごとに求められる基準を満たす必要がありますが、以下の点において特例的な緩和が認められています。

  1. 管理者の兼務:原則として、各サービスの管理者は専従ですが、多機能型事業所の場合は、同一の事業所内で提供する全てのサービスの管理者を一人が兼務することができます。
  2. サービス管理責任者(サビ管)の配置:サービス管理責任者は、通常は各サービス種別ごとに配置が必要ですが、多機能型事業所では利用者総数に応じて計算された員数を配置すれば良く、柔軟な対応が可能です。
    • 例:利用者総数が60人以下の場合、最低1名。61人以上の場合は、利用者数を60で割って得た数(端数切り上げ)に1を加えた数。

3. 多機能型事業所の基本報酬

 

多機能型事業所の報酬は、提供するサービスごとに算定されますが、その仕組みを適用するため、以下のルールがあります。

  1. サービスごとの算定:基本報酬は、利用者が実際に受けた各サービス種別(例:就労移行支援、就労継続支援B型)の基本報酬単価に基づいて算定されます。
  2. 事業所規模による報酬:報酬単価は、各サービス種別ごとの利用者定員規模に応じて設定されています。多機能型の場合、この規模は多機能型全体としての総定員ではなく、各サービスごとの定員に基づいて適用されます。

4. 多機能型事業所のメリットとデメリット

4.1 メリット

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利用者への柔軟な支援 利用者の状態やニーズの変化に応じて、事業所を移ることなくサービスの切り替えや組み合わせが容易に行えるため、支援の連続性が保たれます。
人員配置の効率化 管理者やサービス管理責任者などの兼務が可能なため、単独の事業所を複数運営するよりも人件費や管理コストを抑えることができます。
ノウハウの共有 複数のサービスにおける支援のノウハウや知識が事業所内で共有されるため、職員のスキルアップ支援の質の向上につながります。
安定した経営 いずれかのサービス利用者が減少した場合でも、他のサービスで収益を補うことができ、経営リスクを分散できます。

4.2 デメリット

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初期準備の複雑さ 複数のサービス種別の基準を理解し、それぞれに対応した設備・人員の準備が必要になるため、設立準備や申請手続きが複雑になります。
職員の多岐にわたる知識 職員は、担当するサービス以外の知識やノウハウも求められるため、研修やOJT(On-the-Job Training)など、人材育成に負荷がかかる場合があります。
管理の煩雑さ 複数のサービスを同時に運営するため、会計処理、人員管理、日々の記録などが複雑になり、管理体制の強化が必要です。

5. 多機能型事業所の設立手順

 

多機能型事業所を設立し、運営を開始するためのおおまかな手順は以下の通りです。

  1. 事業計画の策定及び物件の選定

    • 提供するサービス種別を決定します(例:就労移行支援と就労継続支援B型)。

    • 各サービスの定員、利用者数、職員配置計画を具体的に作成します。

    • 資金計画(初期費用、運営費用)を明確にします。

  2. 法人格の取得

    • NPO法人、株式会社、社会福祉法人など、事業を行うための法人格を取得します。

  3. 人員・設備基準の確認と整備

    • 各サービス種別多機能型としての人員配置基準を満たす職員を採用し、研修を行います。

    • 各サービスに必要な設備、備品、事務室、相談室などを整備します。

  4. 指定申請

    • 事業所の所在地を管轄する都道府県または市町村に対し、多機能型事業所としての指定申請を行います。

    • 申請には、法人登記簿、事業計画書、職員の資格証、建物の図面など、膨大な書類が必要です。

  5. 審査・現地確認

    • 提出書類の審査と現地確認が行われます。

  6. 指定書の交付・事業開始:

    • 審査を通過すると指定書が交付され、事業を開始することができます。

6. まとめ

多機能型事業所は、障害福祉サービスにおいて複数のサービスを一体的に提供することで、利用者ニーズへの柔軟な対応事業所の効率的な運営を両立できる非常に有用な形態です。

メリットとして「柔軟な支援」と「効率的な運営」がありますが、一方で「準備の複雑さ」や「職員の多岐にわたる知識」といったデメリットもあるため、詳細な事業計画と入念な準備が成功の鍵となります。

 

就労コンサル MATSUBARA
就労コンサル ishikawa

はじめまして。
コンサル担当のI.Nです。
私は大学を卒業してから約20年間、人材紹介・派遣業界に携わってきました。
新規営業からスタートして既存営業、責任者とステップを踏んできました。
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