【はじめに】
身体拘束は、福祉や医療の現場で、利用者の自由を制限する行為の一つです。 現代の福祉・医療に関しては、利用者の権利を尊重するために身体拘束は可能な限り廃止されるべきであるという考え方が普及しています。
この考え方に基づいて、身体拘束を廃止する取り組みが各福祉事業所に求められており、仮に身体拘束廃止の対策を行っていない場合には「身体拘束廃止未実施減算」という形で報酬が減額されます。
対象となるサービスと減算の単位
【基本報酬の10%減算】
療養介護、共同生活援助、宿泊型自立訓練、障害者支援施設(障害者支援施設が運営する各サービスも含む)※1
【基本報酬の1%減算】
居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、短期入所、重度障害者包括支援、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型・B型(ただし、生活介護、自立訓練(機能・生活)、就労継続支援A・B型は指定障害者支援施設が行うものを除く)
※1 障害者支援施設とは障害者の施設入所支援を行うのと同時に、施設支援以外での施設障害福祉サービスを行う施設を指します。
身体拘束廃止の意義と必要性
近年、福祉や医療の現場では、身体拘束を可能な限り廃止することが強く求められています。これは、利用者の優先を守り、より人間らしいケアを提供するためです。徹底することで、利用者が自分自身の意思で行動できる環境を提供し、安心感や信頼感を築くことが可能となります。
【身体拘束廃止のメリット】
- 利用者の自立を促進する
- 精神的な負担を軽減し、生活の質を向上させる
身体拘束廃止未実施減算の要件
事業所は下記4つの対応が必要です。これに抵触した場合に減算となります。また、都道府県知事等の改善指導に従わない場合、特別な事情がある場合を除き、指定の取消の可能性もあります。
①身体拘束などを実施する際に、身体拘束に係る必要な記録を残していない場合 ②身体拘束適正化検討委員会を定期的に開催していない場合(1年に1回以上) ③身体拘束等の適正化のための指針を整備していない場合 ④身体拘束等の適正化のための研修を定期的に実施していない場合(1年に1回以上)
身体拘束廃止に向けた具体的なステップ
身体拘束を廃止するためには、事業所全体での改革が必要です。以下に、身体拘束廃止に向けた具体的なステップを紹介します。
【ステップ1】 職員への教育と啓発
職員が身体拘束のリスクや代替手段についてしっかりと理解しておかなければ、適切なケアを提供することは難しいです。 定期的に研修を実施し、身体拘束を避けるための具体的な方法や考え方を共有しましょう。
【ステップ2】 代替手段の検討
身体拘束を行わずに利用者の安全を確保するための代替手段を考えます。例えば、見守りシステムや安心できる環境作りなど、技術や環境の改善によって拘束を防ぐ方法を導入することができます。
【ステップ3】 家族と利用者との対話
身体拘束を廃止するためには、利用者本人やその家族とのコミュニケーションが重要です。 利用者や家族が協力して対応策を考えることで、より良いケアが提供しますできるようになります。
身体拘束未廃止実施減算への対策とまとめ
身体拘束廃止未実施減算は、利用者の優先を守り、事業所性を向上させるための努力が行われていない場合に適用される報酬の減額措置です。
事業所としては、身体拘束を避けるための代替手段を導入し、職員全員がその意識を共有することが大切です。
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