はじめに
障害福祉サービスにおいて、「利用者負担上限額管理加算」は、利用者が複数の事業所からサービスを受ける場合に、その利用料の合算が一定の上限を超えないように管理するための制度です。
この記事では、利用者負担上限額管理加算の概要、適用条件、報酬単価に関して詳しく解説していきます。
利用者負担上限額管理加算とは?
加算の目的
利用者負担上限額管理加算は、障害者総合支援法の下、利用者が複数の事業所からサービスを受ける際に、自己負担額が月ごとの上限を超えないように管理するためのものです。これにより、利用者が支払いすぎることを防ぎ、各事業所が適切に費用を請求できるようにします。上限管理の額は4種類あり、世帯収入により判断されます。利用者が所持している受給者証に上限管理の額が明記されています。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯(注1) | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満) | 9,300円 |
※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます(注3)。 | ||
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
対象となるサービス
- 居宅系サービスや放課後等デイサービス
- 就労系サービス
- 児童発達支援等
これらの事業所は、利用者が複数の福祉サービスを利用している際に、各事業所が協力して利用者の負担額を管理し、報酬を請求します。
利用者負担上限額管理加算の算定要件と計算式
利用者負担上限額管理加算を取得するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。具体的には
- 利用者が複数の事業所からサービスを利用している場合。
- 複数事業所の自己負担額の合算が上限額を超える可能性がある場合。
- 利用者の上限額を管理し、他の事業所と調整を行うこと。
この加算は、1か月につき150単位が付与されます。たとえば、利用者が2つの事業所を利用している場合、各事業所は自己負担額を調整し、1事業所で上限額を超えた場合は他の事業所がその調整を行います。
《計算式》
150単位×該当する利用者数×該当月数
受給者証に記載
受給者証の「利用者負担上限額管理対象の有無」に対象である場合は「該当」等の記載があります。また、その際には「利用者負担上限額管理事業所名」の欄に該当する事業所名が明記されます。ここに記載された事業所が、上限額管理事務を行う事となります。
上限額管理者の優先順位
優先順位①
1 ・上限管理対象が居住系サービス利用者の場合、 上限額管理者は指定療養介護事業所、指定共同生活介護事業所、指定障害者支援施設、指定自立訓練(生活訓練)事業所(指定宿泊型自立訓練を受ける者、継続的短期滞在型利用者及び精神障害者退院支援施設利用者に限る)、指定就労移行支援事業所(精神障害者退院支援施設利用者に限る)、指定共同生活援助事業所、旧法指定施設入所等
優先順位②
2 ・上限管理対象がサービス利用計画作成費支給対象者の場合、上限額管理者は指定相談支援事業所
3 ・上限管理対象が日中活動系サービス利用者の場合、上限額管理者は指定生活介護事業所、指定児童デイサービス事業所、指定自立訓練(機能訓練)、指定自立訓練(生活訓練)、指定就労移行支援事業所、指定就労継続支援A型及びB型事業所、旧法指定施設(通所)
4 ・上限管理対象が訪問系サービス利用者の場合、上限額管理者は指定居宅介護事業所、指定重度訪問介護事業所、指定行動援護事業所、指定重度障害者等包括支援事業所
5 ・上限管理対象が短期入所サービス利用者の場合、上限額管理者は短期入所サービスのみの利用者で、上限額管理が必要な時は、当該月において当該上限額管理対象者に最後に指定短期入所サービスを提供した事業所
注意点
上限管理の必要性
この加算は、利用者が複数の事業所を利用している際に発生するものであり、1つの事業所のみを利用している場合は適用されません。また、各事業所が協力して上限管理を行うことが必要であり、調整が不足すると加算が無効になる可能性があります。
実地指導での確認
実地指導では、利用者負担額の適切な管理が行われているかどうかが重要なポイントとして確認されます。各事業所は、負担額管理を行った際の記録をしっかりと残し、提出できるように準備しておく必要があります。
まとめ
利用者負担上限額管理加算は、複数の事業所からサービスを受ける利用者に対して、負担額が上限を超えないように管理するための加算です。
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