はじめに
高次脳機能障害者支援体制加算は、脳損傷などにより記憶障害や注意障害、社会的行動障害などの認知障害を持つ高次脳機能障害者に対する支援を充実させるために新設された制度です。2024年(令和6年)4月の報酬改定により、この加算は障害福祉サービス事業者にとって重要な位置を占めるようになりました。この記事では、高次脳機能障害者支援体制加算の概要、適用要件、報酬単価などを詳しく解説していきます。
高次脳機能障害とは?
高次脳機能障害は、事故や病気により脳の一部が損傷を受けることで発生します。主に記憶、注意、判断力、遂行機能などの障害が現れ、日常生活や社会生活に支障をきたす状態です。この障害は、リハビリや適切な支援があれば社会復帰が可能なケースも多く、そのために支援体制を整えることが重要視されています。
高次脳機能障害者支援体制加算の概要
支援体制加算の目的
高次脳機能障害者支援体制加算は、障害福祉サービス事業者が高次脳機能障害者を支援するための体制を整えることを評価し、事業者の報酬に加算されるものです。これにより、事業者は質の高い支援を提供しやすくなり、障害者が地域社会でより自立した生活を送るための支援を強化することができます。
算定の要件
高次脳機能障害者支援体制加算を算定するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。具体的には以下のような条件が求められます。
- 高次脳機能障害者支援者養成研修を修了した職員が50:1名以上配置及び届出されていること。※1
- 支援対象者の30%以上が高次脳機能障害を有していること。※2
- この体制を外部に公表していること。
※1・高次脳機能障害者支援者養成研修とは、都道府県などが「高次脳機能障害支援養成研修」の名前で研修を実施しています。若しくはこれに準ずる研修となりますので、研修申込時に高次脳機能障害者支援体制加算の対象の研修なのかを確認する必要があります。
※2・高次機能障害の診断の記載のある書類が必要となります。(どれか1つ) 医師の診断書、障害福祉サービス等の支給決定における医師の意見書、精神障害者保健福祉手帳の申請時に必要な医師の診断書。
対象事業所
この加算は、生活介護、施設入所支援、共同生活援助、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労定着支援、就労継続支援など、幅広い障害福祉サービス事業所で適用されます
報酬単価と加算申請のための準備
高次脳機能障害者支援体制加算の報酬単価は41単位/日とされています。
41単位 × 当月の延べ利用数 × 地域区分(10円)
まとめ
高次脳機能障害者支援体制加算は、地域社会で高次脳機能障害者を支援するために不可欠な制度です。令和6年の改正により、より多くの事業者がこの加算を活用し、支援体制を整えることが求められています。障害福祉サービスに携わる事業者は、加算要件をしっかりと理解し、必要な体制整備を進めることが重要です。
この新しい加算制度により、さらに多くの高次脳機能障害者が適切な支援を受け、地域社会での自立した生活を実現できることを期待しています。
参考資料
- 福祉ネット: 高次脳機能障害者支援体制加算の解説【6】
- アンテリジャンスグループ: 高次脳機能障害者支援の現状と加算の詳細【7】
- ウェルクリップ: 支援体制加算の要件と事業所への影響【8】
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