はじめに
※こちらの記事は、就労移行支援及び就労継続支援A型・B型を想定した記事内容となります。
送迎加算とは、障害者福祉サービスの一環として提供される「送迎サービス」に対して支給される加算です。この加算は、事業所がサービス利用者の自宅から施設までの送迎を行う場合に、追加で支払われる費用です。しかし、送迎加算の仕組みや対象については、あまり知られていない部分もあります。この記事では、送迎加算の基本的な仕組みや対象、そして実際の現場での活用方法についてわかりやすく解説していきます。
送迎加算とは?
送迎加算の定義
送迎加算は、障害福祉サービスを受ける際に、事業所が利用者を自宅まで送り迎えするための費用をカバーするための制度です。この加算は、通所介護や生活介護など、通所型のサービスを提供する事業所で主に使われます。簡単に言えば、「利用者を施設に連れてきたり、帰りに送り届けたりする際にかかる費用を、国が一部負担する制度」と考えるとイメージしやすいでしょう。
なぜ送迎加算が必要なのか?
障害を持つ方々にとって、日々の生活やリハビリをサポートするために通所施設へ通うことは非常に重要です。しかし、自力で移動することが難しい場合や、公共交通機関が利用しにくい地域では、事業所が直接送迎を行う必要があります。そこで、その送迎にかかるコストをカバーするために送迎加算が設けられています。送迎加算は、こうした負担を軽減し、より多くの人が福祉サービスを利用できるよう支援しています。
単位と計算
加算の種類と計算式
加算の種類は2つあります。
- 送迎加算(Ⅰ)→21単位×送迎を利用する利用者数×回数(片道)→下記の要件1と2のどちらも満たすと21単位の算定となります。
- 送迎加算(Ⅱ)→10単位×送迎を利用する利用者数×回数(片道)→下記の要件1若しくは2のみのケースは10単位の算定となります。
一方で、利用者が送迎を希望していない場合や、自力での移動が可能な場合には、送迎加算は適用されません。
送迎加算を受けるための要件
【要件1】
①定員20人以上の事業所のケースは、1回の平均で10人以上が送迎利用している事。
⓶定員20人未満の事業所のケースは、1回の平均で定員の50%以上が送迎利用をしている事。
【要件2】
週3回以上の送迎を実施している事。
これらの要件を満たすことで、事業所は送迎加算を受けることが可能になります。
送迎加算のメリット
送迎加算の最大のメリットは、障害者が安心して福祉サービスを受けられる環境が整うことです。自力での移動が難しい方でも、送迎サービスを利用することで、定期的に施設に通い、リハビリや日常生活の支援を受けることが可能になります。
また、事業所側にとっても、送迎加算を利用することで送迎にかかるコストを軽減でき、より多くの利用者にサービスを提供できるようになります。これにより、地域社会全体の福祉水準が向上する効果が期待されます。
届出
必要です。指定権者へ事前届が必要となります。なお、年度の途中でも申請可能です。必要書類は送迎記録と申請書類(送迎加算に係る届出書)です。
送迎記録の内容は「運転者、送迎利用者、送迎場所、出発時間、到着時間、添乗者」等が分かる任意の書類となります。
外部業者への委託は可能か
可能です。ただし、利用者へ直接公共交通機関の利用にかかる費用を給付する場合は対象外となります。
まとめ
送迎加算は、障害者福祉サービスにおいて非常に重要な役割を果たしており、利用者が安心して施設に通える環境を提供しています。事業所側も、送迎加算を適用することで、送迎にかかるコストを軽減し、より多くの利用者にサービスを提供できるようになります。
しかし、送迎加算にはまだ改善の余地があり、特に長距離送迎や特別なケアが必要な場合には、現行の制度では十分な支援が得られないこともあります。今後の制度改正により、より多くの方が利用しやすい環境が整うことが期待されます。
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