はじめに
就労継続支援A型の基本報酬は、令和3年度の報酬改定でスコア方式が導入されました。そして、令和6年度の報酬改定によって下記7点の評価項目になりました。本記事では、「Ⅶ利用者の知識・能力向上」について説明をしていきます。
スコア表
Ⅰ | 労働時間 | 5点~90点 |
Ⅱ | 生産活動 | -20点~60点 |
Ⅲ | 多様性な働き方 | 0点~15点 |
Ⅳ | 支援力向上のための取組 | 0点~15点 |
Ⅴ | 地域連携活動 | 0点~10点 |
Ⅵ | 経営改善計画 | -50点~0点 |
Ⅶ | 利用者の知識・能力の向上 | 0点~10点 |
スコア表の満点は200点です。 Ⅰ~Ⅶの合計点がスコア点数となり下記のように報酬単位が決定します。
スコア(評価点) | 令和6年4月以降 | 令和6年3月末まで |
170点以上 | 791 | 724 |
150点以上170点未満 | 733 | 692 |
130点以上150点未満 | 701 | 676 |
105点以上130点未満 | 666 | 655 |
80点以上105点未満 | 533 | 527 |
60点以上80点未満 | 419 | 413 |
60点未満 | 325 | 319 |
上記の表の令和6年4月以降と令和6年3月末までを比較すると、プラス改定のように思われますが、実質、マイナス改定です。今まで比較的容易に取れた点数の配分が少なくなったためです。故に、本記事の「Ⅶ利用者の知識・能力向上」の10点は必ず獲得しなければならない得点なのです。
Ⅶ 利用者の知識・能力向上の説明
令和6年度に新設された就Aスコア「VII 利用者の知識・能力向上」は、指定権者に届出と公表をして算定されます。「厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について」に基づき順序と記載事項を守って報告書を作成いたしましょう。
「利用者が地域における自立した生活を実現していくためには、就労継続支援A型事
業所等が利用者に対して一般就労に向けた知識・能力の向上に向けた支援を行うこと
が重要である」(厚労省 厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について )
このため、利用者の知識・能力の向上のための支援を実施する必要があり、当該支援の具体的な内
容や利用者、連携先の企業及び事業所等の意見等を記載した報告書を作成し、インターネットの利用その他の方法により公表している場合に、10 点のスコアが算定されます。
算定するための具体的な支援内容①
①ハローワークや障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センター、企業等の職員が講師として実施する研修。 ②内容を十分に理解した当該A型事業所の職員が実施することも可能。但し、当該関係機関と連携している旨を公表の際に記載する必要がある。
算定するための具体的な支援内容②
① ハローワークや障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センターと連携し、
社会のルール、ビジネスマナーの研修や、模擬面接、企業見学等の一般就労に向けた
取組を行う。
② 施設外就労先の企業等と連携し、就労継続支援A型事業所が請け負っている生産活
動以外に関する仕事に関する研修を行う。
③衣料品業界や化粧品業界の企業による身だしなみ研修を行う。 ④ 社会福祉協議会や社会保険労務士等から金銭管理等の研修等を受け、内容を十分に
理解した事業所の職員が、事業所の利用者に対して、金銭管理等の勉強会を行う。
公表手順
②連携先の企業や参加者に研修を振り返って反省や意義を書いてもらってください
③実地指導のために研修や勉強会の資料、様子を事業所独自に記録しておきましょう
④報告書を指定権者に提出いたします
⑤毎年4月中にWAMNET(障害福祉サービス等情報検索ウェブサイト)への公表と自社HPに報告書を公表しましょう
まとめ
スコアのランクが1ランク上下するだけで報酬に大きな差がでます。 666単位×18名(月平均稼働利用者)×22営業日×10円=2,637,360円/月 533単位×18名(月平均稼働利用者)×22営業日×10円=2,110,680円/月
その差は526,680円です。年間にすると6,320,160円と大きな金額差となります。スコアの向上や維持のために「Ⅶ利用者の知識・能力向上」の10点は必ず算定すべき項目となります。
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