はじめに
障害を持つ方が就職を目指す際に利用できる「就労支援」サービスは、多くの方にとって社会参加や自立への第一歩となる大切なサポートです。就労支援には、「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」「就労移行支援」といった形態があり、それぞれの支援内容は異なります。これらの支援は、利用者のスキルや希望、健康状態に合わせたサポートを提供し、就職活動や職場での適応を支援しています。
本記事では、就労支援における就職サポートの内容について詳しく解説します。就労支援の種類ごとにどのような支援が受けられるのか、具体的なサポート内容を把握することで、利用者やそのご家族、企業担当者にとっても適切なサービス選択が可能になります。
就労支援の概要
就労支援とは?
就労支援とは、障害を持つ方が就職や就労の継続を目指すための支援サービスです。一般的な就職活動が難しい場合や、働き始めた後もサポートが必要な場合に、支援機関が就労準備や職場環境への適応を支援します。A型もB型も就労移行も最終ゴールは社会復帰をして、より安定した生活を可能にすることです。
就労継続支援A型・B型と就労移行支援の違い
- 就労継続支援A型:雇用契約を結び、賃金を受け取りながら働くことができる支援です。一般就労が難しい方に対して安定的な労働の場を提供し、社会復帰を目指します。就職時には、就労移行と同じく面接の練習等を実施します。
- 就労継続支援B型:雇用契約を結ばず、工賃を得ながら働く支援で、働くペースや内容を柔軟に選択できるのが特徴です。A型と同じく利用者は社会復帰を目指しますが、A型と比較すると障害の程度が重い傾向があるので、B型からA型にステップアップをすることも多いです。
- 就労移行支援:一般企業への就職を目指して、就職活動や職場適応のためのトレーニングを行う支援です。職業訓練やビジネスマナーの指導、面接対策などを実施します。
就労継続支援A型の就職サポート内容
就労継続支援A型の特徴
就労継続支援A型は、利用者と雇用契約を結び、最低賃金以上の賃金を支払う形で就労支援を行います。雇用契約を締結する以上、利用者は雇用契約書に則った勤務をします。先ずは毎日通所する訓練から始まり、様々な生産活動をします。(入力業務や簡単な事務作業、軽作業等) 利用者が社会復帰を希望した際は、どんな仕事がしたいのか、賃金、就業時間等のヒアリングをして求人の紹介をします。状況によっては、対象企業の見学会等に同行することも頻繁に発生します。A型の通所率はB型や就労移行よりも高いため、企業目線で見るとシフトに穴を空ける可能性が最も少ないと言えるでしょう。
就労継続支援A型で受けられる主なサポート
- 職業訓練とスキル指導:利用者が業務に必要なスキルを身につけられるよう、実務を通じたトレーニングを行います。作業手順や仕事の進め方、コミュニケーション方法なども指導します。
- 職場適応のためのサポート:利用者が職場環境に慣れやすいよう、作業内容や人間関係への適応を支援します。また、就労に伴うストレスを軽減し、利用者が安心して働き続けられるよう支援します。
- 健康管理と生活支援:定期的な健康チェックや、生活リズムの調整を支援します。体調管理が働き続ける上で重要なため、健康面でのサポートも欠かせません。
- 就職時のサポート:履歴書の確認及び作成補助、面接の模擬練習、見学会や面接の動向などがあります。
就労継続支援B型の就職サポート内容
就労継続支援B型の特徴
就労継続支援B型は、利用者と雇用契約を結ばないため、一般企業のような厳しい就労条件に合わせる必要がなく、利用者が自分のペースで働くことができます。工賃を得ながら、自分に合った作業内容で働き続ける支援を提供しています。
就労継続支援B型で受けられる主なサポート
- 作業指導とトレーニング:利用者が自分の能力やペースに合った作業を選び、スキルを身につけるための指導を行います。例えば、軽作業や手工芸品の製作など、利用者が取り組みやすい作業が提供されます。
- 生活支援と相談対応:就労以外の生活面での支援も行い、利用者の生活が安定するようサポートします。日常生活における困りごとや不安がある場合、スタッフが相談に応じます。
- 社会参加の促進:地域のイベントや作業場の見学などを通じて、社会参加を支援します。利用者が地域の中で交流を深め、社会の一員としての意識を高められるよう支援します。
就職やステップアップの支援
B型事業所は、利用者がB型での就労を継続する以外にも、将来的にA型や一般就労を目指す場合に向けて、スキルアップ支援や外部での実習などを提供します。利用者が働き続けやすい環境を整えると同時に、意欲がある場合には一般就労へのステップアップもサポートしています。
就労移行支援の就職サポート内容
就労移行支援の特徴
就労移行支援は、障害を持つ方が一般企業での就職を目指すための支援サービスです。利用者のスキルや適性に応じたトレーニングを行い、就職活動のサポートや、就労に必要なビジネスマナー、コミュニケーションスキルの向上を支援します。就労移行支援を受けられる期間は原則2年間となっているので、利用者は期間内に社会復帰を目指す形となります。就労移行支援でも様々な職場実習をしています。この実習を通して、社会復帰に向けた準備をします。
就労移行支援で受けられる主なサポート
- 職業訓練:利用者の希望や適性に応じた職業スキルを習得するための訓練を行います。実務的な作業やパソコンスキル、ビジネスマナーなど、就職後に必要なスキルを学びます。
- 履歴書作成と面接対策:履歴書や職務経歴書の書き方を指導し、実際の面接を想定した練習も行います。利用者が自信を持って就職活動に臨めるようサポートします。
- 職場実習とインターンシップ:実際の職場での実習やインターンシップを通じて、利用者が職場環境に慣れ、実際の就労のイメージをつかむための機会を提供します。
就職活動のサポート
就労移行支援では、利用者が自分に合った企業を見つけられるよう、企業見学や求人情報の提供を行います。また、就職後もスムーズに職場環境に適応できるように、就労定着支援を通じてフォローアップも行われます。
就労支援での共通のサポート内容
就職後の6ヶ月間と定着支援
仮にA型事業所から利用者の就職が決定した場合、入社してから6ヶ月間はA型事業所が利用者のフォローをします。障害をオープンにしている場合は企業との調整もします。6ヶ月経過後は就労定着支援のサービスを受けることが可能となります。
就労定着支援とは、利用者が就労先の労働環境や業務内容に順応し、長く働き定着できるよう支援することが目的です。就職後に生じた課題(悩みやトラブル)に対して、就労定着支援員が利用者と会社の間に立って、相談や助言など必要な支援をおこないます。
まとめ
就労支援サービスには、就職活動の支援から、職場での適応支援まで幅広いサポートが含まれています。就労継続支援A型・B型および就労移行支援は、利用者の希望や状態に応じて柔軟な支援を提供しており、利用者が安心して働き続けられるよう、さまざまなサポートを行っています。
就労支援を活用することで、利用者は自立に向けた第一歩を踏み出し、充実した就労生活を目指せます。
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