はじめに
障害福祉サービスにおいて、サービス管理責任者(サビ管)の配置は、支援の質を確保するために欠かせない要件です。しかし、サービス管理責任者の資格を持つスタッフが十分に配置できない場合、「みなし配置」 という制度が用いられることがあります。みなし配置は、事業所運営において重要なサポートとなる制度ですが、適用には一定の要件が定められており、事業所運営者や支援者にとっても理解が必要です。
本記事では、サービス管理責任者の「みなし配置」 に関する仕組みや要件、そして注意点について、就労継続支援A型・B型、就労移行支援といった障害福祉サービスに関連付けて詳しく解説します。
サービス管理責任者とは?
サービス管理責任者の役割
サービス管理責任者は、障害福祉サービスの現場で支援計画の作成や進捗管理を行い、利用者一人ひとりに適した支援が提供されるように管理する専門職です。特に、就労継続支援A型・B型や就労移行支援の事業所では、利用者のニーズに応じた支援計画の作成や、サービスの実施状況の評価が求められます。
障害福祉サービスにおけるサビ管の配置基準
就労継続支援A型・B型、就労移行支援といった福祉サービスの事業所では、サービス管理責任者の配置が義務付けられており、事業所ごとに最低1名以上のサービス管理責任者が必要です。利用者のニーズや事業所の規模に応じて、サビ管が適切な支援体制を維持することが求められています。
サービス管理責任者の「みなし配置」とは?
みなし配置の概要
「みなし配置」 とは、サービス管理責任者が一時的に配置できない場合や、急な欠員が生じた際に、一時的な対応として他の職員がサービス管理責任者としての業務を代行する制度です。これは、サビ管の資格要件を満たしたスタッフがいない事業所が直ちに資格者を確保することが難しい場合に用いられます。
みなし配置が適用されるケース(やむを得ない事由によりサビ菅が欠けた場合の措置)
やむを得ない事由とは以下のような事業者の責に帰さない事由により欠如した場
合であり、かつ、後任のサービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者を直ちに配置することが困難な(求人広告の掲載、ハローワークへの求人募集を行ったが採用に至っていない等)場合となります。法人の定例人事異動や定年退職など事前に事業所が把握し対応が可能であったものについては、やむを得ない事由として認められません。
<やむを得ない事由の例>
- サビ管が死亡・失跡した場合。
- サビ菅が病気や怪我により急遽退職や休職をした場合。
- その他の事由により予期できない事が生じた場合。
やむを得ない事由は、指定権者によって見解に差があります。必ず、管轄の指定権者に確認をしましょう。
みなし配置を行う場合には、都道府県などの関係行政機関への届け出が必要であり、期限を定めて資格を持つサビ管を正式に配置することが求められます。
みなし配置の期間
みなし配置は一時的な措置であり、無期限での適用は認められません。みなし配置の期間は1年か2年となります。次に1年のケースと2年のケースの説明に入ります。
<1年のケース> 実務経験要件(相談支援業務又は直接支援業務を3~8年)を満たしている者がいる場合。この場合は、サビ菅が欠如した日から1年間のみなし配置が可能です。(ただし、引き続き原則の要件を満たすサビ管等の早期配置に努めること。)
<2年のケース>
欠如した日から実践研修を修了するまでの間(最長で欠如時以降、2年間)でみなし配置が可能です。
※ただし、基礎研修修了後、6月経過後に実施される実践研修を受講すること。 以下の3点をすべて満たす者がいる場合が対象となります。 ①実務経験要件(相談支援業務又は直接支援業務を3~8年)を満たしていること。
②サビ管等が欠如となった日以前に、既に相談支援従事者初任者研修(講義部分)及びサビ管等基礎研修を修了済であること。
③サビ管等が欠如となった日以前から、当該事業所の従業者として配置されていること。
行政機関への届け出
みなし配置を行う際には、事前に都道府県などの関係行政機関に対して、みなし配置の申請とその理由を報告する必要があります。届け出の際には、みなし配置の期間や今後の正式なサビ管の配置計画についても詳細に説明することが求められます。
みなし配置のメリット
福祉関連等の事業を展開する場合、必ずサビ菅が必要です。しかし、サビ菅を取るまでには一定の期間を要し、欠員時にすぐに採用できるかと言うとなかなか難しいケースが良くあります。しかし、このみなし配置制度を活用することにより、通常通りの事業を行う事が可能となります。必ず、従業員の実務要件を確認しておきましょう。中途入社で採用している場合は、従業員の前職に連絡してもらって実務経験証明書を準備して対策をしましょう。そして、サビ菅の基礎研修及び相談支援従事者初任者研修(講義部分)を早めに受けましょう。(基礎研修の受講は必要な実務経験年数の2年前から受けることができます。)
まとめ
長く事業をする上で、サビ菅の突発的な退職等は良くあることです。我々のコンサル先でも発生しました。サビ菅が不在となりみなし配置も置けない状況ですと、利用者の集客が出来ない・減算のリスク等があります。既存の従業員の経歴を今一度確認してみて、実務要件に該当するのかを確認してみましょう。何よりも大切なことは、「サビ菅が欠如した時のリスクヘッジがしっかりと準備されているのか」という事です。
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