就労支援 生産活動収入を増やすためのポイント
はじめに
就労継続支援A型やB型において生産活動は、障害を持つ方や特定の支援を必要とする方が、より豊かな生活を送るための重要な要素です。就労継続支援A型は、利用者への支払い給与以上の生産活動収入を得なければスコアアップにつながりません。就労継続支援B型は利用者に支払う工賃の向上が重要なため、生産活動収入をしっかり確保しないと利用者の集客に苦戦が予想されます。本記事では、専門的な知識がなくても理解できるように、収入を増やすための具体的なポイントについてわかりやすく解説していきます。
生産活動とは何か?
まず、生産活動という言葉の意味から見ていきましょう。生産活動とは、就労支援の場で行われる作業や業務を指します。例えば、事業所施設内でのパソコン業務や軽作業、施設外にある工場等での組立作業や清掃業務、これらの活動を通して収入を得ることが目指されますが、どうやってその収入を増やすかが課題です。
生産活動収入を増やすには営業強化が必須
生産活動収入を増やすには、いくつかの基本的な戦略があります。これらの戦略を活用することで、収入を安定させ、さらには増加させることが可能です。多くの事業所が生産活動収入の伸び悩みに直面しています。それを打破するには、事業所周辺の営業を強化することです。営業マンを雇う必要はありません。利用時間が15時までであれば、15時~17時までの2時間、支援員で営業をかけてみましょう。毎年、最低時給も上がっていくので既存の取引先には請求交渉もしなければなりません。福祉業界といえど、営業力は成功するために最も大切な要素であることは間違いありません。
効率的な作業の進め方
まず重要なのは、作業効率の向上です。同じ時間内でより多くの生産を行うことで、自然と収入が増えます。例えば、作業を細分化し、一つ一つの工程をより簡単かつ効率的に進める方法を考えることが大切です。そのためには、支援員が利用者の特性を理解して配置することが大切です。当社では、柱の仕事が6つあり業務を細分化して利用者を配置してます。利用者には複数の業務をこなしてもらい、不得意な業務も社会復帰のために挑戦させております。
商品やサービスの付加価値を高める
次に考えるべきなのは、提供する商品やサービスに付加価値をつけることです。たとえば、発送代行業務の場合、顧客にとってより価値のあるものにすることが重要です。これには、検品の精度を向上させる、オプションの種類を増やす、スピード(納期)にこだわるなどの方法があります。つまり、依頼主の立場に立って物事を考えて、提案実行することが重要です。
実際、手工芸品の制作であれば、特別なデザインや高品質な素材を使うことで、他の製品との差別化を図り、より高い価格で販売することができます。
販売チャネルの多様化と新規営業
生産した商品をどこで売るかも、収入を左右する重要な要素です。従来の対面販売だけでなく、オンラインショップやフリーマーケット、SNSを活用した販売など、販売チャネルを多様化することで、多くの顧客にアプローチできます。
オンライン販売の利点は、地理的な制約がなくなることです。例えば、地域のフリーマーケットだけでなく、全国の顧客に対して商品を販売することができ、売上を大きく伸ばすチャンスがあります。また、オンライン販売を始めると新たな業務(在庫管理や顧客対応等)が発生します。
障害者就労支援において、収入を増やすための取り組みは今も進化し続けています。例えば、就労継続支援A型・B型の事業所では、支援を受けながら自立的な収入を得ることが奨励されています。しかし、現状では収入が限られていることが課題として挙げられています。
新規案件獲得は新規営業や人脈による紹介、既存取引先からの新規案件獲得がメインになります。新規営業は事業所近くの法人や周辺の工場団地から営業をかける方が得策です。運搬作業等が発生する業務だと時間的コストやガソリン代が発生するためです。また、少子化の問題もあり全国的に人材難の時代です。工場団地やサービス業では多くの外国人労働者を活用している企業も少なくありません。企業にとっては多少の生産性が落ちる可能性はありますが、外国人労働者や派遣会社に依頼するよりコストは軽減できます。障害者に働いてもらうことによる地域の社会貢献にも繋がります。1年に1回~2回は取引先企業に単価交渉もしましょう。時期としては最低賃金額が確定する7月~9月、企業の年度初め(交渉は1月~3月、変更は4月1日~)が最適でしょう。取引先企業は多くの協力会社から交渉を受けると想像できますので、早めに交渉したほうが成功率は上がるでしょう。
就労継続支援A型の特長
就労継続支援A型は、利用者と雇用契約を結び、最低賃金以上の給与が保証されている点が特徴です。これにより、利用者は一定の収入が得られるため、収入の安定化が期待できます。しかしながら、生産活動収入から利用者の給料を支払う必要があります。多くのA型事業所が生産活動収入の確保に苦戦しており、健全な運営をするうえで最も重要なテーマと言えるでしょう。
就労継続支援B型の特長
B型は雇用契約ベースではなく、作業の対価として工賃が支払われます。工賃は生産活動の利益(売上-経費)から支払う必要があります。A型もB型も原則として、給付費から支払うことはできません。利用者は、生産量や生産性に応じた収入が得られますが、A型と比べると賃金が低くなる傾向にあります。そのため、B型での生産活動収入を増やすには、効率的な作業や商品価値の向上が一層重要です。2022年度の全国平均工賃の平均は月額17,031円、時給額243円です。なお、厚生労働省は就労継続支援B型事業において、各利用者に支払う1ケ月あたりの工賃の平均額が3,000円を上回らなければならないと定めています。
成功事例から学ぶポイント
ここでは、就労支援を受けながら生産活動収入を増やすことに成功した事例を紹介し、そのポイントを解説します。
手作りアクセサリーの成功事例
ある就労支援施設では、利用者が手作りアクセサリーを製作し、インターネットで販売することで大きな収入を得ることに成功しています。この成功の鍵は、アクセサリーのデザイン性と販売チャネルの多様化です。
アクセサリーのデザインは、利用者自身の創造性を活かしたものであり、オリジナル性が高く評価されています。また、SNSやオンラインショップを活用することで、広い範囲に販売することができ、固定の顧客を獲得しています。
農作業による収入増加の事例
農作業を通じて収入を得る事例では、農作物を作るために農家さん等の知見を得ることや販路の開拓が大切です。直売所での販売やEC販売、小さな小売店への営業、給食センターなどが販路となるでしょう。
生産活動収入を増やすためのサポート体制
就労支援において、利用者が生産活動収入を増やすためには、支援機関や専門家のサポートが不可欠です。以下では、具体的なサポート内容を紹介します。
支援員や賃金向上達成指導員(目標工賃達成指導員)によるアドバイス
支援施設や事業所には、利用者の生産活動を支援する支援員がいます。支援員は、的確な業務指示やアドバイスを行い、収入増加のための具体的な提案を提供します。
スキルアップのための研修
就労支援の一環として、スキルアップのための研修が提供されることもあります。これにより、利用者はより高度な技術や知識を身につけ、収入を増やすための新たな方法を学ぶことができます。
まとめ
就労支援を通じて生産活動収入を増やすためには、効率的な作業の進め方や付加価値の高い商品作り、販売チャネルの多様化など、さまざまな工夫が求められます。自力で商品を開発するには時間とコストもかかります。自社製品の開発販売は中長期目標として考え、先ずはA型であれば最低時給以上の収入が見込める案件の獲得を目指しましょう。B型は全国で15,354件あり競争が激しくなってきております。利用者から選んでもらえる事業所になるためには、工賃と業務内容が重要な指標となります。A型もB型も営業力が必要となり、内職などの低単価な案件は取引先との交渉や辞退も念頭に入れる必要があるでしょう。
今回紹介した基本的なポイントを参考にし、日々の生産活動を見直してみてください。少しの工夫が大きな成果につながる可能性があります。
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